高血圧

脂肪の種類と特徴について

高血圧の食事療法では、体に良くない脂肪を減らすことが重要です。脂肪の種類と特徴について紹介していきます。

飽和脂肪酸・コレステロールのとり過ぎに注意

動脈硬化
高血圧症を放置すると、怖い合併症である動脈硬化が進行し、 脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。同様に、血中のLDLコレステロール値や中性脂肪値が高くなる脂質異常症も、動脈硬化を進めて、心筋梗塞や 脳梗塞の大きな原因になります。血圧が高い人は、食習慣をはじめとする生活習慣から脂質異常症にもなりやすいので、その合併を防ぐことが重要です。合併すると、動脈硬化が複合的に進行していきます。それを予防するには、とり過ぎると体によくない脂肪、つまり飽和脂肪酸とコレステロールの量を減らすことが効果的です。
脂質の構成成分である脂肪酸には、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3種類があります。そのうち、過剰摂取によってコレステロールなどの血中脂質を増やすのが飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は、牛肉や豚肉の脂肪分、バターなどに多く含まれているので、こういった食品をとる回数や量を減らし、加えて、コレステロールが多い食品の過剰摂取もひかえます。代わりに野菜・果物、大豆製品、海藻類をとると、血圧の上昇と血中脂質の増加を抑えやすくなり、動脈硬化の予防につながります。主菜が肉中心の人は、魚を食べる機会を増やし、食事ごとに肉と魚を交互に食べるといいでしょう。また、1回の食事でとる肉の量は、60~100gくらいが適量です。

飽和脂肪酸とコレステロールが多い食品

現在の日本の食生活では、飽和脂肪酸とコレステロールの摂取が多めになりがちです。
これらの成分が多い食品を知り、食べ過ぎを防ぎましよう。

飽和脂肪酸が多い食品・料理

食品

●牛肉(肩肉、ランプ肉、肩ロース肉サーロイン、ひき肉、タン)

●豚肉(肩口ース肉、ひき肉)

●鶏肉(もも肉、手羽肉)

●肉の加工食品(ベーコン、ソーセージロースハムなど)

●肉の脂身(ラード、牛脂など)

●パター、チーズ生クリームなど

料理

①すき焼②ハンバー③ミートボー④フライドチキ⑤鶏の唐揚げ

⑥焼き餃⑦春巻⑧ラーメ⑨即席め⑩肉まん⑪洋菓子

コレステロールが多い食品・料理

コレステロールとは?

脂質の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料になります。体内で全体量の70~80%が合成され、残りの20~30%が食品から摂取されています。コレステロールは、目の敵にされますが、人の生体機能を維持するために必要不可欠な成分であり、体内でそれが過剰になると脂質異常症となり、動脈硬化を進行させます。よって、摂取しないのがよいのではなく、とり過ぎないことが重要です。また、体内で合成されるコレステロールは、食品からとった脂質や糖質を原料として作られるので、高脂肪の食品や甘い物を食べ過ぎないことも大事です。

食品

●魚介(するめいか、あんきも、うなぎ、かば焼き、たらこ、うに、すじこ、たこ、イクラ)

●肉(鶏・豚のレバー、砂肝)

●卵

●パター

●マヨネーズ

料理

①レバニラ炒め②もつ煮込み③いかの塩辛④佃煮⑤オムレツ

⑥だし巻き卵⑦カステ⑧カスタードプリン⑨シュークリー

⑩ショートケーキ⑪アイスクリーム

脂肪が多い食品を調理する時

●炒め物に使う油は、少なめにします。フッ素樹脂加工のフライパンを使うと、使用量を抑えることができます。調理中に脂がたくさん出てくるようであれば、キッチンペーパーで吸い取りましょう。
●肉を焼くときは、グリルパンや焼き網を使うと、余分な脂を落とせます。
●揚げ物は回数を減らしましよう。作るときは、衣を薄めにします。また、揚げ油の再使用は、酸化や汚れのおそれがあるので、やめましよう。

動脈硬化を予防する脂肪酸

一価不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸は、悪玉のLDLコレステロールを減らす作用が確認されています。オレイン酸は、オリーブ油、アーモンドなどに含まれています。
多価不飽和脂肪酸では、青魚に含まれるEPAやDHAに、血圧調整や血栓症の予防に効く働きがあります。