高血圧

高血圧の診断基準と2つの種類

高血圧には、原因が明らかな二次性高血圧症と、原因が特定できない本能性高血圧症
の2種類があります。高血圧の種類と診断基準について紹介していきます。

日本の診断基準は日本高血圧学会の血圧分類が適用される

高血圧・症状別段階
正常血圧と高血圧の各数値を定めた血圧分類には、WHO(世界保健機関)・ISH(国際高血圧学会)、米国合同委員会などの世界基準もありますが、日本の診断基準としては、日本人の体と食生活を考慮して定められた、日本高血圧学会の血圧分類が適用されています。収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上あると、高血圧症と診断されます。さらに血圧レベルによって、I~Ⅲ度の3段階に分けられ、合併症のリスクや治療の基本方針が示されています。正常血圧は130/85mmHg以下ですが、それとは別に至適血圧が定められ、より低い血圧が推奨されています。これは、血圧を低い状態に保つことが、健康を守るうえで大切であることを示すものです。

二次性高血圧症と本態性高血圧症

高血圧症には、血圧値による症状別段階とは別に、発症原因による分類があり、2つに大別されます。原因が特定できるものを 「二次性高血圧症」、特定できないものを 「本態性高血圧症」と言いますが、日本の高血圧症患者の約90%が本態性高血圧症になります。二次性高血圧症は、別の病気や薬の副作用から引き起こされるもので、その病気の治療や、高血圧につながる薬の服用を中止することで、高血圧の症状も改善されてき
ます。一方、本態性高血圧症は、原因が特定できないため、即効的な治療が難しく、自己療養と医学的治療を一緒に進めながら、ゆっくりと症状を改善していくことが推奨されます。

二次性高血圧症の原因

高血圧症患者の約10%を占める二次性高血圧症はこ腎障害から起こることが最も多く、その次が内分泌性の病気となります。また近年は、薬の副作用として生じる高血圧も増えてきています。

腎性高血圧症

病気

腎炎、腎盂腎炎、膠原病腎症、妊娠腎、痛風腎、腎結石、糖尿病腎症など

発症理由

腎機能の障害により、ナトリウムや水分排泄に異常が起こり、循環血液量が増えます。また、腎臓でおもに産生されている昇圧ホルモンが増え、逆に、腎臓で産生されている降圧ホルモンが減ります。

内分泌性高血圧症

病気

原発性アルドステロ症、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症および低下症など

発症理由

内分泌機能の障害により、昇圧ホルモンが産生過剰となり、降圧ホルモンの産生が低下します。

血管異常による高血圧症

病気

大動脈縮窄症、腎血管性高血圧症、高安病など

発症理由

大動脈縮窄症では、生まれつき大動脈の一部が細いために血圧が上がります。腎血管性高血圧症は、腎臓の動脈丙鹿が狭くなり、血行障害が起こるものです。高安病は、大動脈やそこから分かれる太い動脈に炎症が起こる病気で、循環障害を起こすします。

脳神経系の異常による高血圧症

病気

脳腫瘍、脳外傷・脳脊髄膜炎後など

発症理由

脳がつかさどる神経機能に異常が起こり、上記の内分泌性高血圧症と同様に、血圧が上がります。

薬剤性高血圧症

病気

グリチルリチン酸、消炎鎮痛鼻、エストロゲン製剤、ステロイドホルモン、漢方薬の甘草など

発症理由

グリチルリチン酸は肝障害の治療に使われる薬です。いずれも、腎臓でのナトリウムと水分の排泄障害や、降圧ホルモンの産生低下、昇圧反応性の増加などを起こして、血圧を上げます。