脂肪の種類と特徴について
高血圧の食事療法では、体に良くない脂肪を減らすことが重要です。脂肪の種類と特徴について紹介していきます。
飽和脂肪酸・コレステロールのとり過ぎに注意
脂質の構成成分である脂肪酸には、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3種類があります。そのうち、過剰摂取によってコレステロールなどの血中脂質を増やすのが飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は、牛肉や豚肉の脂肪分、バターなどに多く含まれているので、こういった食品をとる回数や量を減らし、加えて、コレステロールが多い食品の過剰摂取もひかえます。代わりに野菜・果物、大豆製品、海藻類をとると、血圧の上昇と血中脂質の増加を抑えやすくなり、動脈硬化の予防につながります。主菜が肉中心の人は、魚を食べる機会を増やし、食事ごとに肉と魚を交互に食べるといいでしょう。また、1回の食事でとる肉の量は、60~100gくらいが適量です。
飽和脂肪酸とコレステロールが多い食品
現在の日本の食生活では、飽和脂肪酸とコレステロールの摂取が多めになりがちです。
これらの成分が多い食品を知り、食べ過ぎを防ぎましよう。
飽和脂肪酸が多い食品・料理
食品 | ●牛肉(肩肉、ランプ肉、肩ロース肉サーロイン、ひき肉、タン) ●豚肉(肩口ース肉、ひき肉) ●鶏肉(もも肉、手羽肉) ●肉の加工食品(ベーコン、ソーセージロースハムなど) ●肉の脂身(ラード、牛脂など) ●パター、チーズ生クリームなど |
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料理 | ①すき焼②ハンバー③ミートボー④フライドチキ⑤鶏の唐揚げ ⑥焼き餃⑦春巻⑧ラーメ⑨即席め⑩肉まん⑪洋菓子 |
コレステロールが多い食品・料理
コレステロールとは?
脂質の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料になります。体内で全体量の70~80%が合成され、残りの20~30%が食品から摂取されています。コレステロールは、目の敵にされますが、人の生体機能を維持するために必要不可欠な成分であり、体内でそれが過剰になると脂質異常症となり、動脈硬化を進行させます。よって、摂取しないのがよいのではなく、とり過ぎないことが重要です。また、体内で合成されるコレステロールは、食品からとった脂質や糖質を原料として作られるので、高脂肪の食品や甘い物を食べ過ぎないことも大事です。
食品 | ●魚介(するめいか、あんきも、うなぎ、かば焼き、たらこ、うに、すじこ、たこ、イクラ) ●肉(鶏・豚のレバー、砂肝) ●卵 ●パター ●マヨネーズ |
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料理 | ①レバニラ炒め②もつ煮込み③いかの塩辛④佃煮⑤オムレツ ⑥だし巻き卵⑦カステ⑧カスタードプリン⑨シュークリー ⑩ショートケーキ⑪アイスクリーム |
脂肪が多い食品を調理する時
●炒め物に使う油は、少なめにします。フッ素樹脂加工のフライパンを使うと、使用量を抑えることができます。調理中に脂がたくさん出てくるようであれば、キッチンペーパーで吸い取りましょう。
●肉を焼くときは、グリルパンや焼き網を使うと、余分な脂を落とせます。
●揚げ物は回数を減らしましよう。作るときは、衣を薄めにします。また、揚げ油の再使用は、酸化や汚れのおそれがあるので、やめましよう。
動脈硬化を予防する脂肪酸
一価不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸は、悪玉のLDLコレステロールを減らす作用が確認されています。オレイン酸は、オリーブ油、アーモンドなどに含まれています。
多価不飽和脂肪酸では、青魚に含まれるEPAやDHAに、血圧調整や血栓症の予防に効く働きがあります。