「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われますが、この言葉のとおり、柿は良質な栄養分が豊富な食品です。そのひとつが[柿の渋]。この柿の渋みの正体は、ポリフェノールの一種であるタンニンです。強い抗酸化力があるため、体内の活性酸素をやっつけて、悪玉のLDLコレステロールの酸化や血管壁の老化を防ぎ、血圧を調整するとともに、動脈硬化を予防してくれます。収穫された柿は、食べやすいように渋みを取る「脱渋」を経た後に出荷されますが、この作業では、水溶性タンニンを不溶性タンニンに変えることで渋みを取るので、甘い柿にも、タンニンの有効成分は残っています。柿にはビタミンCや、植物が持っている色素成分の一種であるリコピンやβ-カロテンも豊富に含まれています。これらの成分はタンニン同様、抗酸化力が強く、高血圧の改善や予防に役立ちます。とくにビタミンCは、柿1個で成人の1日の摂取基準量をほとんど満たすほど多く含まれており、健康面のほか、シミ予防など美容面での効果も期待できます。加えて、体内の余分なナトリウムの排泄を促すカリウムや
食物繊維も豊富です。また、昔から、酒を飲む前に柿や干し柿を食べておくと、悪酔いを防いでくれると言われています。これは、柿に含まれるタンニンや食物繊維がアルコールの吸収を抑え、カリウムの利尿作用などが働くためです。柿の出回る秋には、ぜひ食卓に取り入れましょう。