高血圧

高血圧の合併症について

血圧が高い状態を放っておくと、恐ろしい合併症が進行します。それも致死率が高い病気が多くなります。高血圧の合併症について紹介していきます。

高血圧の恐ろしい合併症

高血圧の合併症の起こり方は、人によってそれぞれで多種多様です。頭痛、頭重感、吐き気、動悸、倦怠感、むくみなど、高血圧による不快症状が続いたあとに起こる時もあれば、まったく自覚症状もないまま突然激しい発作におそわれて最悪の場合、命を落とすケースもあります。そのような大事にいたらないように血圧コントロールとともに、合併症の予防や、早期発見と治療を心掛けましょう。近年は、合併症の有無や進行程度を把握できる精度の高い検査が多くあり、予防対策をしっかり行えるようになっています。

糖尿病にも注意

糖尿病は、高血圧から起こる合併症ではないですが、高血圧の人は、糖尿病になりやすく、同様に、糖尿病の人も、高血圧になりやすいという因果関係があります。これには、インスリン抵抗性と高インスリン血症のメカニズムが関与していると考えられます。高血圧と糖尿病を合併すると、血管障害が進行しやすく、高血圧と糖尿病双方の合併症が次々と起こってきます。脳卒中、心筋梗塞のリスクも高まるので、高血圧の人は、血圧コントロールと一緒に、血糖値の検査を行い、適正値内でコントロールすることが大切です。

高血圧から起きる合併症

脳には大動脈と、そこから枝分かれしている細動脈がありますが、特に細動脈の硬化が進んでコブ状の動脈瘤ができ、それが破裂して起こるのが脳出血です。その一種のくも膜下出血は、血圧の急上昇と関係が深く、非常に致死率が高い病気です。一方、脳梗塞は、動脈硬化が進んだ血管に血栓(血のかたまり)がつまって血流が途絶え、酸素と栄養分の供給ができなくなった細胞が壊死します。細動脈では大事にいたらないこともありますが、大動脈では致死率が高くなり、一命をとりとめたとしても、体の麻痺や言語障害などの後遺症が残る場合が多いです。また、動脈硬化で血管が狭くなり、一時的に脳への血流が不足して起こる病気に、一過性脳虚血発作があり、この病気は脳出血や脳梗塞の前兆となります。

心臓

心臓に酸素や栄養を送り込んでいる冠動脈の内腔が、動脈硬化によって狭くなり、一時的に血流が途絶えて起こる発作のことを狭心症と言います。胸部に痛みを感じ、安静にしていると治まりますが、一度発作が起きると、心筋梗塞につながる危険が高まるので、早期の治療が重要になります。心筋梗塞は、冠動脈に血栓がつまり血流が途絶えることで起こり、血液と栄養分を供給できなくなった心筋が壊死します。胸部に激痛をともなう発作を生じ、そのまま死亡してしまう事もある恐ろしい病気です。一方、高血圧が続くと、大動脈に血液を送り出している左心室が肥大化する心肥大が起こりやすく、これが進行すると、心機能が低下する心不全におちいります。

腎臓

腎臓の細動脈で動脈硬化が進行すると、腎臓が硬く小さくなって機能低下を生じる腎硬化症になります。進行すると、血液をろ過して尿を作っている糸球体にも硬化が起きてしまい、たんばく尿が出るようになり、更に腎機能が低下する腎不全におちいります。血液透析(人工透析)が必要になる場合が多く、悪化して尿毒症を起こすと、命にかかわります。

大動脈

大動脈の硬化が進行すると、血管壁が弾力性を失ってもろくなってしまい、強い血流が加わるところにコブ状の大動脈瘤ができます。この部分が破裂する大動脈瘤破裂が起こると、出血死につながります。

網膜の細動脈の硬化が進むと、血管がもろくなり、網膜に小さな出血や白斑が現れます。進行すると視力障害が起こり、さらに眼底で大出血が生じ、失明する事があります。

末梢動脈が硬化し、下肢、とくに足先に血液が流れにくくなります。一定の距離以上を歩くと、足が痛くなり、休み休みでなければ歩けない間欠性跛行が起こり、症状を放置すると、足先への血流が完全にストップし、足の壊疽につながります。