高血圧の症状

高血圧を放置すると重大な病気に

高血圧には自覚症状はほとんどない

高血圧症の大部分が、原因を特定できない本態性高血圧症であるのに加え、もうひとつやっかいな点があります。それは、高血圧特有の症状はほとんどない、ということです。
高血圧が続くと、頭痛、頭重感、肩こり、のぼせ、息切れ、動悸、発汗などが起こりやすくなりますが、これらは、高血圧であることを示す特有の症状ではなく、あくまでも、高血圧から起こりやすい不快症状の一例です。頭痛や肩こりは、血圧が正常な人にも起こり、また、風邪などの一時的な疾患や、心身のストレスなどによっても起こります。よって、これらの症状から、高血圧であると判別することは容易ではありません。

症状が出てきたときは合併症がすでに進行している状態

脳梗塞・合併症
重症の高血圧が長く続くと、自覚症状が出てきますが、その時にはすでに合併症が進行しており、合併症の病気がもたらす症状が、体の異常を知らせています。動脈硬化が進行して心臓に負担がかかっていると、息切れ、動博、むくみ、胸痛などが現れ、脳で異常が進行していると、ひどい頭痛、吐き気、痙攣などが起こり、腎障害が進んでいると、むくみ、頻尿、多尿、乏尿(尿が少ない)などが現れてきます。これらの症状が見られるようになった後になると、高血圧と合併症の両方の治療を進めていく必要があります。また、重症の高血圧が長く続いても、合併症の自覚症状が出にくいこともあり、この場合は、突然、脳卒中や心筋梗塞の発作にみまわれ、そのまま亡くなってしまうこともあります。このように、本人が知らないうちに、体の各部位で怖い病気が進行していくことから、高血圧はサイレント・キラー(沈黙の殺し屋)と呼ばれています。高血圧が進行させる重大な病気の予防には、高血圧の早期発見と早期治療が最も有効的と言えます。そのためには、定期的に血圧測定を行い、高血圧を放置しないことが重要です。

高血圧が続くと…

血圧が高い状態が続くと、その圧力を受ける臓器と血管(動脈)に障害が出てきます。臓器では、心臓、脳、腎臓に負担がかかり、機能障害が徐々に進みます。動脈では、綱動脈に悪影響が及びやすく、血管壁の中膜とないくう内膜が肥厚し、血管内腔が狭くなります。さらに、血管内皮に損傷が起こり、それを修復しようとする白血球や血小板が、修復の過程で変形を起こして血管壁に蓄積します。このように動脈硬化が進行し、全身でさまざまな循環障害が起こってきます。

命に関わる病気につながります。

血圧を下げるようコントロールし、予防することが重要

高血庄の状態が長く続くと、動脈硬化が進行していき、命に関わる脳や心臓の病気につながります。動脈硬化が進むと、脳では脳卒中(脳梗塞、脳出血) が起こりやすくなり、心臓で心筋梗塞は狭心症や心筋梗塞の危険が増します。
また、腎臓では、腎細動脈の硬化が進むことで、腎臓が硬化して機能低下が生ずる腎硬化症が起こり、症状がさらに進行すると、腎不全におちいります。
更に、高血圧が続くと、心臓が血液を送り出すとき、常に強い圧力が必要となるため、心臓が肥大していき心肥大となり、症状が進むと、心不全につながります。このように、高血圧を放置すると、怖い病気が進行していきます。これを予防し、健康に暮らしていくために、血圧を下げるようコントロールすることが重要なのです。

日本人の3大死困

厚生労働省の「人口動態統計」によると、近年の日本人の死因は、1位悪性新生物(ガン)、2位心疾患、3位脳血管疾患となっています。2位と3位は、心臓と脳の血管障害から起こるもので、高血圧と深い関係があります。

後遠症も怖い

高血圧を一要因として起こる心疾患や脳血管障害は、一命をとりとめても、体の麻痺や言語障害などの後遺症が残る場合があります。本人の人生が大きく変わるだけでなく、家族の生活もよぎ変化を余儀なくされます。それを防ぐためにも、早めに高血圧のケアを開始しましょう。